【質問】チェックツールを使えば、自動的にチェックできるよね?

【回答】自動的にチェックできるのは、ごく一部に限られています。

残念ながら、Webページのアクセシビリティを自動的にチェックできるのは、チェック作業全体の20%前後といわれています。また、『JIS X 8341-3:2016』や『WCAG 2.0』の達成基準を満たしているかどうかを機械的に判定できるかというと、ほとんどの達成基準はチェックツールによるチェックだけでは判定できません

自動的(機械的)なチェックの限界…

例えば、画像の代替テキストをチェックする場合。チェックツールによって、自動的にチェックできるのは以下のような事項です。

  • WebページのHTMLソースにある<img>要素にalt属性があるかどうか
  • alt属性値として、何らかの文字列が記述されているかどうか

もしalt属性値として何らかの文字列が記述されていたとしても、その記述内容が画像の代替テキストとして適切かどうかは、人間がそのWebページを目視で確認するなどして、前後関係もふまえて判定する必要があります。

画像を解析する技術がどんどん進化しているので、将来的にはもう少し自動化が可能になるかもしれません。画像にある文言を機械的に読み取ることができるようになれば、チェック作業はかなり効率良くなるでしょう。それでも、当面はまだチェックツールだけでの判定は不可能で、目視による確認作業が不可欠だといえます。

ほとんどの達成基準の判定には、目視や動作確認が必要

例えば、『JIS X 8341-3:2016』や『WCAG 2.0』には、次のような達成基準があります。

1.3.1 情報及び関係性の達成基準
何らかの形で提示されている情報,構造,及び関係性は,プログラムによる解釈が可能である,又はテキストで提供されている(レベル A)

JIS X 8341-3:2016 / WCAG 2.0「1.3 適応可能のガイドライン」

この達成基準は、Webアクセシビリティ確保の基本である「コンテンツをマシンリーダブルにすること」そのものです。例えば、Webページに次のようなものがあった場合、それらは見た目だけではなく、HTMLソースでも解釈できるようにマークアップしましょうということです。

  • 見出し
  • リスト(箇条書き)
  • フォームコントロールのラベル
  • データテーブル(表)

つまり、この達成基準が適用される箇所があるかどうか自体、まずは目視でWebページを確認して判断しなければなりません。例えば、HTMLソースだけをチェックして、見出しをマークアップする<h1>要素や<h2>要素があればOKというものではありません。

チェックツールの今後の進化に大いに期待!

そういう意味では、ときどき見かけるランキングなども、その順位だけに囚われないようにしましょう。何をどこまでチェックしているかを確認してから、そのランキングの信用度を判断すべきです。チェック項目やその基準すらも公表していないランキングもあるようですが、少なくともチェックツールで全ページをチェックしているだけのランキングは、Webサイトの実態を表しているものとはいえません。

とはいえ、近年は諸外国でWebアクセシビリティの確保が法律によって義務付けられるようになってきたこともあって、Webサイト全体のアクセシビリティの品質を定期的にチェックするようなツール(システム)も登場してきました。また、さまざまな技術の進化によって、今後はチェックツールだけで自動的に判定できる範囲が広がってくるかもしれません。

チェックツールの進化によって、Webコンテンツのアクセシビリティが少しでも効率よくチェックできるようになることを期待しましょう。